“できない日” があってもいい。だから、支援がある。

〜6月10日「時の記念日」に寄せて〜


「時の記念日」って?

6月10日は「時の記念日」
日本で初めて時間を知らせる仕組み(水時計)が使われたことを記念して、
「時間の大切さを考える日」として制定されました

でもこの “時” という言葉、
単に「時計の針が刻む時間」だけではありませんよね

  • 子どもたちの “発達のとき”

  • 心が揺れる “気持ちのとき”

  • 一歩進む準備をしている “静かなとき”

時間を守ることも大切だけれど、
今、この子がどんな “とき” にいるのかを見つめることも、もっと大切だと感じています


「できる日」だけじゃなく、「できない日」もある

「昨日できたのに、今日はできない」――それって悪いこと?

私たちの事業所にも、
「昨日できたことが今日はできない」
「朝は元気だったのに、午後から表情が曇った」
…そんな “できない日” を持つ子どもたちがいます

支援の現場でも、おうちでも、子どもと関わる中でよくある場面
昨日まで元気にあそんでいたのに、今日は泣いてばかり
できるようになったと思ったら、また戻ってしまったように感じることも

でもそれって、本当に「後退」なのでしょうか?

子どもの発達は、線ではなく波。
“できたり、できなかったり” があって当然です。

とくにこの時期は、気圧や湿度の変化で体調や情緒が乱れやすい時期
発達障害のある子は、耳の中の気圧センサーの働きなどの影響で、
天候に左右されやすいと言われることもあります

「どうして今日はグズグズしてるの?」と問い詰めるより、
「今日はちょっと “できない日” なんだな」と受け止めるほうが、
ずっと優しくて、ずっと建設的です


「がんばらなくていい」日があるから、自分のペースを信じられる

“時の記念日” だからこそ、あえて言いたいことがあります

こどもは、時計通りには育たない。
一人ひとりに、それぞれの「時」がある。

  • ごはんの時間になっても、まだ遊んでいたい日がある

  • 順番が来ても、どうしても踏み出せない日がある

  • 何もかも「イヤ!」な、そんな日だってある

それを「わがまま」「甘え」と切り捨てるのではなく、
「今日はそんな “とき” なんだ」と認めてあげること
その余白が、「自分らしくいていいんだ」という安心につながります


こんなときこそ、支援の出番

支援とは、「できるようにすること」だけじゃありません

“できない日” を一緒に過ごすこと。
“できる日” が来るまで、そばにいること。

当事業所では、「“できる”を増やす」ことだけでなく、
“できないときに、どう自分を守るか”
“困ったときに、正しく助けを求められるか”
――そんな視点をとても大切にしています

感覚が過敏で疲れていたり、気圧の影響で身体がだるかったり、
なんとなく不安だったり
子どもが「できない日」を迎える理由は、目に見えにくいことがほとんど

だからこそ、「今日は無理しない日でいいよ」と受け止めてあげること、
それ自体が立派な支援だと思うのです

子どもたちにとって、
「できなかったけど、怒られなかった」
「うまくいかなかったけど、誰かがいてくれた」
という経験は、心の根っこを支える宝物になります

失敗しても・できなくても “見放されない” 経験を重ねることで、
子どもたちはだんだんと、自分を受け止める力・安心してチャレンジする力を育んでいきます

がんばらなくても大丈夫な場所があるから、
またがんばろうと思える――

支援って、本当はそういう土台づくりなのかもしれません


【おうちでできる:耳マッサージでリラックス】

気圧の変化に敏感な子におすすめの親子ケア
耳のまわりを優しくマッサージすると、血流がよくなり、自律神経も整いやすくなります

  • 耳たぶを優しく引っ張る

  • 耳のつけ根を指先でくるくる回す

  • 頭と首の境目(うなじ)を温めるようになでる

「がんばるぞ!」ではなく、
「ゆっくりしようね」の気持ちでおこなってみてください


おわりに

6月10日、「時の記念日」

時間に追われるのではなく、
「その子の “今” という時間」を大切にできる大人でありたい

そして、「できない日」があってもいい
その “時” こそ、支援がそっと寄り添えるチャンスだと思っています

立ち止まることで、自分を守ることを覚える。
休むことで、また前に進めるエネルギーを蓄える。

子ども自身が「今日は自分を休ませたい」「まだうまくいかないけど、それでもいい」と
思えるようになることが、自分の気持ちに正直に、そして柔軟に生きていく力につながるのだと思います

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