——言語聴覚士さんへ、私たちからのラブレター
「舌の動き」「呼吸の流れ」「声帯のふるえ」——
言語聴覚士(ST)の仕事は、極めて専門的で、緻密で、理にかなった世界
正しい知識と技術が、確実な変化を生み出す
そこに、プロとしての醍醐味があると感じている方も多いはずです
私たちも、そこを尊敬しています
だからこそ、STの専門性が子どもの「ことばのはじまり」にも活かせることを、もっと知ってもらいたいと思っています
「発語の前」にこそ、STの力が必要です
子どもたちの中には、
・舌の動きにクセがあって発音が不明瞭な子
・構音はできていても、音声化のモチベーションが持てない子
・そもそも「伝える」「わかってもらう」経験が少ない子 ——など
発語に至るまでの道のりは、実にさまざまです
でも共通しているのは、
“ことばになる前のサイン”が、必ずどこかにあるということ
そして、そこに気づける人こそ、STの目と耳を持つ人だと、私たちは思っています
「ことば」は、ただの伝達手段ではありません
私たちは、ことばを「生きる力」だと捉えています
イヤなときに「イヤ」と言えること
困ったときに「助けて」と言えること
好きなものを「好き」と言って笑えること
それは、自分を守るための力であり、自分らしく生きるための力です
ことばが育つというのは、単に音が出るようになることではなく、
その子が「自分を生き始める」ことでもあります
医療でも教育でもない「第3の現場」で、専門性を活かす
子どもたちの支援の現場は、医療とも、教育とも違います
診察のような限られた時間でもなく、教室のように集団で動く場でもない
一人ひとりの「今」を見つめ、その子のペースで関われる、いわば「第3の現場」
そのなかでSTが果たす役割は、じつはとても大きいのです
・構音のトレーニングを、遊びの中にさりげなく組み込む
・子どもが「伝えたい!」と思えるしかけを、一緒に探す
・本人の意志を尊重したうえで、周囲の関わり方も整える
そんな支援ができるのは、「ことば」を知っているSTだけ
「子どもが好き」だけじゃなく、「専門を活かしたい」あなたへ
療育の現場に興味はあるけれど——
「なんとなく子どもが好き、だけじゃ物足りない」
「もっと専門的に関わりたい」
「医療での経験を活かしつつ、新しい分野に挑戦したい」
——そんなあなたにこそ、来てほしいと願っています
私たちは、STを“補助的なポジション”ではなく、専門職として大切なチームの一員として迎えたいと思っています
そして、「この子の“ことば”が芽吹いた瞬間に立ち会えた」——
そんな実感を、何度でも味わってほしいのです
最後に。
ことばは、ひとを守り、つなぎ、未来をひらく力
その力を、あなたの手で子どもたちに届けてください
私たちは、その日を心待ちにしています