児童発達支援|できないときの支援とは?Blue Birdの実践とACTの視点

いよいよ新年度が始まりますね
いかがお過ごしでしょうか

Blue Birdでもこの春、新人研修を行いました

今回は新しく入ったスタッフだけでなく、既存のスタッフも含めて、
あらためて支援の考え方を共有する時間にしました

 「どんな考え方のもとで支援をしているのか」
 「何を大切にしているのか」

それを、組織として揃えていくことが、
日々の支援の質につながると考えているからです

その中で改めて整理されたことを、
この記事でもお伝えできたらと思います

これまでのブログを読んでくださっている方にも、
初めて読む方にも、
今のBlue Birdの軸として、受け取っていただけたらと思います

子どもたちへの支援の話ではありますが、
日々の子育てや仕事、そして自分自身のあり方にも、
重なる部分があるかもしれません


「どう生きるかを育てる支援」

支援は、"できる" のためだけにあるのか


Blue Birdではこれまで、
「できることを増やす」こと以上に、
「できないときにどうするか」を大切にしてきました

 ヘルプを出せること
 自分を知ること

それは、子どもたちがこれから先も生きていく中で、
本当に必要になる力だと考えているからです

同時に、私たちはこうも問い続けてきました

 「できることを増やせば、その子は本当に生きやすくなるのか」

児童発達支援の現場では、
スキルとしては身についているのに、できなくなる瞬間があります
理解しているはずなのに、うまくいかないときがあります

そのとき、
「できるようにすること」だけでは届かない領域が、確かに存在しています

現在の児童発達支援では、
行動の習得やスキルの獲得を中心とした支援が多く見られます

いわゆるABA(応用行動分析)やSST(ソーシャルスキルトレーニング)など、
「できることを増やす」ためのアプローチです

これらはとても有効な支援であり、実際に多くの子どもたちの力になっています

しかし一方で、
「できなかったときにどうするか」という視点は、
十分に扱われているとは言えません

できる/できないという二元論の中では、
"できない瞬間" に支援が止まってしまうことがあるからです

現実には、「できるようになること」が、
日々の生活の中で困らないために、とても大切です

そのうえで、それでもなお残る "できない瞬間" にどう向き合うか

私たちは、
「できるようにする支援」を否定しているわけではありません
ただ、それは支援の一部であって、すべてではないと感じています

なぜなら、人は
"できないこと" を完全になくすことはできないからです

では、私たちはどう考えてきたのか

その答えは、事業所の名前に込めています

「Blue Bird(青い鳥)」は、
 幸せは遠くにあるものではなく、
 本当はすぐそばにある、という物語です。

  ※事業所名に込めた想いについては、こちらの記事で詳しく書いています
  ▶ 事業所名に込めた想い

私たちはこの名前に、
「特別な何かができるようになること」だけが価値なのではなく、
"今の自分のままで、どう生きていくか" に目を向けたい、
という想いを込めました

だからこそ支援の中でも、
できることを増やすことと同じくらい、
「できないときにどうするか」を大切にしています

 困ったときにヘルプを出すこと
 自分の状態に気づくこと

それは、できない自分を否定するのではなく、
"そのまま扱う力" を育てることでもあります

そして最近になって、私は知りました
この考え方には、名前があったということに

それが、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)です

  心理学の分野で研究・実践されているアプローチで、
  これは子どもだけでなく、
  大人にとっても「どう生きるか」を考えるヒントになる考え方でもあります

  ※ACTについてより詳しく知りたい方は、こちらも参考になります

もともとは、大人を対象とした心理学・医療の分野で発展してきた考え方ですが、
子どもの教育や支援の分野でも、少しずつ取り入れられ始めています

私自身、この考え方に触れたときに、
これまで現場で大切にしてきた感覚と重なる部分が多く、
年齢や立場に関係なく、これから広がっていくものなのではないかと感じました

ACTでは、人がしなやかに生きていくための力を、
6つの要素で捉えています
いわゆる「ヘキサフレックス」と呼ばれるものです

ただ、私たちはそれを専門的な言葉のまま扱うことはしていません

子どもたちにとっても、保護者の方にとっても、
そして支援者自身にとっても、
"使える言葉" であることが何より大切だと考えているからです

そのため、Blue Birdではこれらの力を、
子どもたちにも伝わる形に置き換えて、
日々の支援の中で、次のように取り入れています

■ 気持ちに気づく

(受容)

ブロックがうまく作れなくて、
なんだかイライラしているとき
うまくいかなくて、モヤモヤしているとき

その気持ちを「ダメなもの」として消そうとするのではなく、
「今こういう気持ちなんだな」と気づくこと


■ 考えに飲まれない

(脱フュージョン)

「どうせ無理」「やりたくない」と思ったとき
やる前から手が止まってしまうとき

その考えにそのまま引っ張られるのではなく、
「そう思ってるな」と少し距離を取ること


■ 今に戻る

(今この瞬間)

前に失敗したこと、怒られたこと、
を思い出して落ち込んでいるとき
まだ起きていないことを考えて不安になっているとき

過去や未来ではなく
意識を「今ここ」に戻すこと
目の前で起きていることに気づくこと


■ 自分を知る

(文脈としての自己)

集団活動や苦手なこと、
同じような場面で、いつも困ってしまうとき

 「自分はどんなときにうまくいかなくなるのか」
 「どんな関わりや工夫があると助かるのか」

少しずつ、自分のパターンを知っていくこと


■ 大切にしたいことを持つ

(価値)

本当はやってみたいけど、怖くて迷ったとき
どうしたらいいかわからなくなったとき

 「自分はどうしたいか」
 「どんな自分でありたいか」

正解ではなく、自分なりの軸を思い出すこと


■ 行動する

(コミットメント)

先生に聞きたいけど、
 恥ずかしくて止まってしまうとき
 うまくいくかわからないとき
 できるかどうか不安なとき

それでも、小さくても一歩を選ぶこと
必要なときには、「助けて」と伝えることも含めて
次の一歩を踏み出すこと

私たちが大切にしている
「ヘルプを出せるようになること」も、
この中のひとつの具体的な行動です

 自分の状態に気づき、
 必要なときに人に頼る

それは決して "できないこと" ではなく、
"生きていくための力" だと考えています

私たちは、
 「できるようにする支援」ではなく、
 「どうやって自分で生きていくかを育てる支援」をしています

目指しているのは、
 「できることが多い人」ではなく、
 「困ったときに折れない人」です

私たちは、決して
「できるようにする支援」を否定しているわけではありません
ただ、それだけでは届かない領域があると感じています

だからこそ、
「どう生きるか」を育てる支援を大切にしています

できる・できないに関わらず、
自分の状態に気づき、
必要なときにヘルプを出し、
周りとつながりながら、
また一歩を選んで、進んでいく

そうした力は、
特別な場面だけでなく、日々の暮らしの中でこそ問われるものだと捉えています

そうした土台を、日々の支援の中で育てていく
それが、私たちの支援です


そしてこれは、子どもたちだけの話ではありません

子育ても、人生も、きっと同じです

 時間も足りない
 余裕もない
 思い通りにもいかない

でも、それは「うまくいっていない」のではなく、
それが、そもそも普通の状態なのだと思います

人生は、「不足」がデフォルトです

そして正直に言うと、
こうしたことは、大人であっても簡単にできるものではありません

自分がどうしたいのかわからなくなることもありますし、
どうやって決めたらいいのか、
何日も迷い続けることもあります

決めたはずなのに、
次の日にはまた揺れてしまうこともあります

それが何日も続くこともあります

だからこそ私たちは、
その中でどう動くのか、どう選び続けるのかを問われているのだと思います

保護者の方にとっても、
支援者である私たちにとっても、同じことが言えます

 思い通りにいかないとき、
 うまくできないとき、

そのときに、どう自分を扱うのか

 誰かに頼るのか、
 立ち止まるのか、
 それでも一歩を選ぶのか

そして、そうやって迷いながら関わっている大人の姿そのものが、
子どもたちにとっての学びになるのではないでしょうか

完璧な姿よりも、
揺れながらも向き合おうとする姿の方が、
人としての温度が伝わるのだと思います

私たちは、そうした在り方そのものを、
子どもたちに伝えているのだと感じています


「Blue Bird」という名前には、
幸せは遠くにあるものではなく、
すぐそばにあるという意味が込められています

それは、何かが "できるようになること" によって
手に入るものだけではなく、

今の自分をどう扱い、
どう生きていくかの中にあるものでもあります

私たちはこれからも、
子どもたち一人ひとりが、
自分なりの歩き方を見つけていけるように、
その土台を支えていきたいと思います


Blue Birdでは、
こうした考え方を大切にしながら、日々の支援を行っています

 「どんな支援をしているのか、もう少し知りたい」
 「実際の様子を見てみたい」

そう感じていただけた方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください

🤲 私たちの支援の考え方を知りたい方へ
  「事業所名に込めた想い」
  「できない」はダメじゃない|児童発達支援で大切にしたい“自己受容”という考え方
  子どもが“助けて”と言えるようになるには?|児童発達支援で育てたいヘルプを出す力
  子どもが「自分のこと」を理解できるようになるには?|児童発達支援で大切にしたい自己理解

  • 👥 働くことに興味のある方へ
    また、この考え方に共感してくださる方と、
    一緒に働けたら嬉しいと思っています

  • ▶採用情報は、こちら

  • 編集後記

    私自身も、支援やスタッフとの関わりに迷ったとき、
    「この関わりが、その子の人生を本当に生きやすくするのか」
    という視点に立ち返るようにしています

    正解があるわけではありません
    ただ、そのときに何を大切にするのかを、
    その都度考え続けている、という感覚に近いです

    関わりのひとつひとつが、
    本当にその子のこれからにつながるのか
    そこからは離れないようにしたいと思っています

    これまでもそうですが、
    私がこのブログで書いていることが、
    誰かの役に立ったり、どこかの誰かの支えになればいいなと思っています

    ただ、実際の毎日は、そんなに特別なことではなくて、
    目の前のことをひとつずつやっているだけです

    それでも、その積み重ねが、
    誰かのこれからにつながっていたらいいなと思っています

    今回の内容は、これまで書いてきた記事ともつながる部分が多く、
    私の中でも一本の線として整理された感覚があります

    人は、“決めたとき” に変わる
    権威とは何か
    支援って、誰のため?

    それぞれのテーマで考えてきたことが、
    今回の内容につながっています

    よろしければ、あわせて読んでみてください