🌙 今日の「どうして?」
「あれ、なんだか急に機嫌が悪くなった?」
子どもと過ごしていると、そんなことはありませんか?
さっきまで楽しそうに遊んでいたのに、
急に泣いたり
怒ったり
「イヤ!」が増えたり
いつもなら待てるのに、待てない
いつもなら自分でできるのに、
「やって!」と怒る
そして、しばらくすると――
寝てしまった
「ああ、眠かったのか」と気づくことがあります
でも、少し不思議です
どうして眠くなると、機嫌まで悪くなるのでしょう?
眠いなら、そのまま眠くなればよさそうなのに
実はそこにも、子どもの身体の中で起きていることが関係しています
381保健室 #2は、
「眠気」と「機嫌」の関係 を、身体の中からのぞいてみます
🏥 今回の381保健室の案内役
ねむりさん|眠りの案内役 🌙
眠ることや体内時計、身体が休むための仕組みを一緒に見ていくよ
じりつくん|自律神経の案内役 ⚡
身体がどうやって状態を調整しているのか、一緒に考えるよ
🌙 眠ることにも、身体の準備がある
私たちは、
🌅 朝になると目を覚まし、
☀️ 昼間は活動して、
🌙 夜になると眠ります
毎日あまり意識していませんが、
身体は一日の中で、ずっと同じ状態ではありません
☀️ 朝の光を浴びる
🏃 身体を動かす
🍚 食事をする
🧸 遊ぶ
そして、時間が経つにつれて少しずつ、
「そろそろ休もう」
という方向へ身体が変化していきます
そのリズムに大きく関係しているのが、
🕐 体内時計です
そして、その体内時計の中枢が、脳の視床下部にある
🧠 視交叉上核(しこうさじょうかく)
です
名前はちょっと難しいですね
でも、役割を知ると、とても面白い場所です
視交叉上核は、目から入ってくる光の情報などを手がかりに、身体の一日のリズムを調整しています。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、視交叉上核は体内時計の中枢として説明されています。
🌙 \ ねむりさんと身体の中を探検! /
☀️ 朝、目から入った光の情報は、脳へ伝わります
その情報をもとに体内時計が調整され、
「いまは朝だよ」
「活動する時間だよ」
と、身体は一日のリズムを整えていきます
そして、起きている時間が長くなるにつれて、
💤 「眠りたい力(睡眠圧)」
も少しずつ高まっていきます
さらに夜になると、🌙 メラトニンというホルモンの分泌が増えていきます
メラトニンは身体に「夜」が来たことを知らせ、睡眠・覚醒のリズムに関わっています
また、夜間には深部体温が低下していくなど、さまざまな身体の仕組みが関わりながら、眠る準備が進んでいきます
つまり、
「夜になったから、突然眠くなる」
というより、
身体の中では一日のリズムの中で、眠りと目覚めが調整されているんですね

図解にしてみると、「眠い」という感覚の奥でも、いろいろな仕組みが働いていることが分かります
つまり、
眠気は「寝たくない!」という気持ちだけの問題ではありません
身体が眠りへ向かって変化している途中に起こる、ひとつの状態でもあります
では――
ここからが、381保健室で一緒に考えたいところです
「機嫌が悪い」の奥には、何がある?
子どもが、
泣く
怒る
「イヤ!」と言う
言うことを聞かない
そんな姿を見ると、私たち大人はつい、
「機嫌が悪い」
「わがまま」
「言うことを聞いてくれない」
と、目の前に見えている行動に注目しやすくなります
でも、
その行動だけでは分からないことがあります
たとえば、
眠かったのかもしれない
お腹が空いていたのかもしれない
たくさん遊んで疲れていたのかもしれない
喉が渇いていたのかもしれない
人の多い場所や大きな音などで、刺激をたくさん受けていたのかもしれない
あるいは単純に、
まだ遊びたかったのかもしれない
そして、これらはいくつか重なっていることもあります

実際、子どもや思春期の睡眠と感情調整について調べた研究でも、睡眠不足や睡眠の問題は、感情を調整する働きと関連することが報告されています
眠かったり、十分に眠れていなかったりすると、
普段ならできている
「待つ」
「切り替える」
「気持ちを落ち着かせる」
といったことが、いつもより難しく見えることがあります
だから381保健室では、
「なぜ言うことを聞かないんだろう?」
だけではなく、
もうひとつ問いを増やしてみたいと思います
「この子の身体は、いまどんな状態なんだろう?」
もちろん、すべての「イヤ!」を身体の状態だけで説明することはできません
本当に嫌なこともあります
まだ遊びたいこともあります
自分で決めたいこともあります
気持ちの切り替えに時間が必要なこともあります
大切なのは、
原因をひとつに決めることではありません
「わがままだから」
「眠いから」
「性格だから」
と答えを決めてしまうのではなく、
いくつかの可能性を持ちながら、その子を見ること
それだけでも、見え方は少し変わってきます
「できる力」と「いま使える力」は、同じ?
ここでもうひとつ、考えてみたいことがあります
いつもなら、自分で靴を履ける
いつもなら、少し待てる
いつもなら、遊びを終えて次へ移れる
いつもなら、「手伝って」と言える
でも、眠いときには難しい
そんなことがあります
すると大人は、
「いつもできるでしょ?」
「自分でできるよね?」
と言いたくなることがあります
たしかに、その子には「できる力」があります
でも、
「できる力を持っていること」と、
「いま、その力を使えること」は、同じなのでしょうか

眠い
疲れている
お腹が空いている
刺激をたくさん受けた
そんなときには、
普段持っている力を使うための余力が少なくなっているのかもしれません
「できる力」そのものが、突然なくなったわけではない
いまは、その力を使うことが難しい
そう考えてみると、
「できる/できない」
だけでは見えなかったものが見えてきます
⚡ \ じりつくんと考えてみよう /
では、
「眠くなる仕組み」が分かれば、
寝かしつけもコントロールできるのでしょうか?
ここは少し違います
人の身体には体内時計があり、特に光は、そのリズムを調整する重要な手がかりです
朝に光を浴びること
日中と夜の明るさにメリハリをつけること
夜は強い光をできるだけ避けること
毎日の生活リズムを整えていくこと
こうした環境は、身体の睡眠・覚醒リズムを整えることにつながります
でも、
「これをすれば、必ず○時に眠る」
というスイッチがあるわけではありません
だから、
「○時になったから寝かせなきゃ」
「どうして寝てくれないの?」
と考えるだけではなく、
少し見方を変えてみる
今日は、朝の光を浴びたかな
今日は、どんな一日だったかな
昼寝はどうだったかな
夜になっても強い光や刺激が続いていなかったかな
いつもの生活リズムと大きく違っていなかったかな
……
そんなふうに、
「どうやって寝かせよう?」ではなく、
「眠れる身体の準備はどうかな?」
と見てみる。
⚡じりつくんからの提案💡です
🌙 眠らせることより、
眠れる準備を手伝ってみよう
身体の仕組みが少し頭にあるだけでも、
「なんで寝ないの!」
から、
「まだ身体が眠る準備の途中なのかな?」
へ
見え方を変えられることがあります
寝かしつけが毎回うまくいく魔法ではありません
でも、
分からないまま向き合うことと、
身体の中で起きていることを少し知って向き合うこと
その二つは、少し違うのかもしれません
🔍 「いつも」と比べてみる
381保健室 #1でも大切にした、「いつもと違う」に気づくこと
眠気についても同じです
🕐 何時ごろ眠くなりやすいのか
🥱 眠くなる前に、どんな行動が増えるのか
🏃 たくさん遊んだ日はどうなのか
🛏️ 昼寝が長かった日はどうなのか
🌙 寝不足の日はどうなのか
その子の「いつも」を知っていると、
その子なりの眠気のサイン
が少しずつ見えてくることがあります
そして、
「あ、この怒り方、眠いときによくあるな」
と気づければ、
叱るより先に、
少し休む
刺激を減らす
少し手伝う
次の予定を調整する
そんな選択肢を持てるかもしれません
🌙 今日のまとめ
眠くなった子どもが機嫌を崩すと、
私たちはつい、
「わがまま」
「言うことを聞かない」
「いつもできるのに」
と、目の前の行動を見てしまいます
でも、その奥には、
眠気や疲れ、空腹、刺激、気持ちなど、
いろいろなものが隠れているかもしれません
だから、
行動を変えようとする前に、身体を見てみる
そして、
「できるか」だけではなく、
「いま、その力を使える状態かな?」と考えてみる
身体を知ることで、
子どもの行動の意味が、少し違って見えてくることがあります
それが、381保健室で大切にしたい見方です
🏥 気になる様子があるときは
眠気や機嫌の変化だけでなく、
いつもと比べて明らかに元気がない
強い眠気が続く
呼びかけへの反応がおかしい
発熱や嘔吐など、ほかの症状もある
そんな気になる様子がある場合は、
「眠いだけ」と決めつけず、医療機関などの専門家へ相談してください
子どもの様子は、一人ひとり違います
だからこそ、「いつもと違う」
という身近な大人の気づきも、大切な情報になります
📚 もっと知りたい方へ
まず保護者向けに一番おすすめなのは、厚生労働省 e-ヘルスネットの「こどもの睡眠」です。子どもの睡眠時間や生活リズム、体内時計について分かりやすく整理されています。
▶厚生労働省 e-ヘルスネット「こどもの睡眠」
より詳しく身体の仕組みを知りたい場合は、同じくe-ヘルスネットの「眠りのメカニズム」が使いやすいです。睡眠欲求と体内時計、メラトニン、深部体温などが解説されています。
▶厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」
生活環境まで含めた公的な資料としては、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が最もまとまっています。
▶厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
参考情報
睡眠と子どもの感情調整については、2022年の系統的レビューでも、睡眠問題・睡眠不足と感情調整機能との関連が整理されています。
▶PubMed|Sleep and emotion regulation in childhood and adolescence
次回の381保健室
身体の中では、毎日いろいろな仕組みが働いています
次回も、
「知れば、見え方が変わる」を、一緒に探していきます