💧 今日の「どうして?」
暑い日に外で遊んでいると、
子どもの額に、じんわり汗。
気づけば、髪までびっしょり。
「いっぱい汗かいたね」なんて声をかけることがあります
暑いとき、走ったとき
夢中になって遊んだとき
私たちの身体は、汗をかきます
でも、少し不思議です。
どうして身体は、わざわざ汗を出すのでしょう?
ベタベタするし、服は濡れるし、暑い日は何度も拭かなければなりません
それでも汗が出るのには、理由があります
381保健室 #3は、「汗にはどんな役割があるの?」を、身体の中からのぞいてみます
🌡️ 汗の大切な仕事は、体温調節
身体を動かすと、身体の中では熱がつくられます
気温が高い
日差しが強い
身体をたくさん動かす
そんな条件が重なると、身体に熱がたまりやすくなります
そこで身体は、熱を外へ逃がそうとします
その方法のひとつが、汗をかくこと
体温調節に関わる汗は、主に皮膚にある「エクリン汗腺」から出てきます
でも、汗が出るだけで身体が冷えるのでしょうか?
\ ぽたちゃんと身体の中を探検! /
💧 汗腺から汗が出る
↓
💦 皮膚の表面に汗が広がる
↓
🌬️ 汗が蒸発する
↓
🌡️ 皮膚から熱が逃げる
ここで大切なのは、汗が蒸発することです
汗が液体から気体に変わるとき、皮膚から熱を奪います。それが身体の熱を逃がす助けになります。汗には、体温調節のほかにも、皮膚の状態に関わる働きがあると考えられています。
暑い日に汗をかく身体は、自分を守るために働いているんですね
💧 汗をたくさんかけば、安心?
では、汗をたくさんかけば、それだけ身体を冷やせるのでしょうか
そう単純でもありません
湿度が高いと、皮膚についた汗は蒸発しにくくなります
汗は出ている
でも、熱はうまく逃げない
そんなことも起こります
「汗をかいている=身体を十分に冷やせている」とは限りません
汗だけでなく、そのときの暑さや湿度、活動量、そして目の前の子どもの様子も見ることが大切です。熱中症は、身体から熱をうまく逃がせなくなることなどによって起こります。
🐥 子どもの身体は、大人の小さい版ではない
「子どもは汗っかき」
そんなイメージがあるかもしれません
けれど、子どもの身体は、大人をそのまま小さくしたものではありません
身体の大きさに対する皮膚の面積や、汗腺から出る汗の量などには、成長に伴う違いがあります。子どもと大人では、熱の逃がし方が同じとは限らないのです。
だから、
「いっぱい汗をかいているから大丈夫」
とも、
「まだ汗をかいていないから大丈夫」
とも、汗だけでは判断できません
見るのは、今日の、この子です

🥤 汗をかいたら、水だけでいいの?
汗として身体の外へ出ていくものの中心は、水分です
でも、水分だけではありません
汗には、ナトリウムなどの電解質も含まれています
普段の生活では、水やお茶などをこまめに飲むことが基本です
一方、暑い場所で長く活動したり、大量に汗をかいたりしたときは、水分とともに塩分も失われます。そうした場面では、水分と塩分の両方を補うことが必要になります。
つまり、
「汗をかいたら、いつも同じ飲み物を飲めばいい」わけではありません
暑さ、活動量、汗の量、体調を見ながら考えていきます
🔬 ちょっとだけ、身体の中へ潜ってみる?
水分補給をさらに詳しく見ると、小腸にはナトリウムとブドウ糖を一緒に取り込む仕組みがあります。経口補水液は、こうした吸収の仕組みを利用したものです。
……おっと。今日は「汗」の話でしたね。
この先は、おなか先生にも来てもらい、また別の381保健室で。
ここで覚えておきたいのは、たくさん汗をかいた身体は、水分だけでなく塩分なども失っているということです
※経口補水液は、普段の水分補給のために日常的に飲むものではありません。脱水時に使う飲み物で、製品によって用途も異なります。
🔍 「暑い」と感じることと、「暑い」と気づくこと
ここからが、381保健室で一緒に考えたいところです
身体は、いろいろな形で「いまの自分」を知らせています
暑い
喉が渇いた
お腹が空いた
眠い
疲れた
こうした身体の内側の状態を感じ取ることには、内受容感覚(インターオセプション)が関わります
少し難しい名前ですね
でも、名前を覚えることより大切なのは、次のことです
身体に変化が起きることと、本人がそれに気づき、行動できることは別です
喉が渇いていても、本人はまだ気づいていないかもしれません
暑さを感じていても、「暑い」と言葉にできないかもしれません
遊びに夢中で、身体からのサインが後回しになることもあります
さらに、暑いと分かっていても、遊びをやめて涼しい場所へ移ったり、水を飲んだりするところまで、自分でつなげるのは難しいことがあります
🌱 身体の感じ方も、一人ひとり違う
身体の変化に気づきにくい子もいれば、汗や濡れた服を強く不快に感じる子もいます
感じたことを言葉にしにくい
遊びから休憩へ切り替えにくい
助けてほしくても伝えにくい
姿はさまざまです
「ASDだから暑さに気づかない」
「ADHDだから水分補給ができない」
と、診断名だけで決めることはできません
内受容感覚に関する研究でも、ASDのある人すべてに同じ特徴が見られるわけではなく、測り方や対象によって結果が異なります。
だから見たいのは、診断名よりも、
「この子は、身体から届くサインをどう感じ、どう伝えているんだろう?」
ということです

⚡ \ じりつくんと考えてみよう /
では、子どもが自分で気づけるようになるまで、大人は待てばいいのでしょうか
暑いときは、まず身体を守ることが優先です
涼しい場所で休む
水分をとれるようにする
衣服や活動する時間を調整する
特に幼い子どもには、大人からのサポートが必要です
そのうえで、381保健室では、もう一歩先も考えてみたいと思います
🌱 「守る」ことと、「自分の身体を知る」こと
「お水を飲もう」
そう声をかけて、飲めるようにする
それは大切なサポートです
さらに余裕のあるときには、身体に起きていることも一緒に確かめてみる
「いっぱい汗かいてるね」
「顔がいつもより赤くなってきたね」
「身体はどんな感じ?」
「少し涼しいところで休もうか」
身体の様子と、次にできることをつないでいきます
言葉で答えるのが難しければ、表情や動きを見たり、「飲む」「休む」を一緒にやってみたりしてもいい
すぐに自分で気づけるようにならなくても構いません
身体を守ること
自分の身体を少しずつ知っていくこと
その両方を、大人と一緒に経験していけたらいいのだと思います
ただし、体調が悪そうなときに本人の気づきを待つ必要はありません。大人が先に涼しい場所へ移し、必要な対応をします
👕 汗をかいた「あと」も見てみよう
汗をかいたら、それで終わりではありません
汗や蒸れで皮膚が不快になったり、濡れた服が気になったりすることもあります
必要に応じて、汗をやさしく拭く
洗い流す
濡れた服を着替える
涼しい場所で休む
その子の様子に合わせて、身体が過ごしやすい状態をつくります
汗をかくこと自体が悪いわけではありません
「汗を止める」より、「汗をかいている身体をどう手伝うか」
そう考えると、少し見え方が変わります
💧 今日の汗も、身体を知るきっかけに
汗をかくこと
喉が渇くこと
暑いと感じること
どれも、身体について知る手がかりになります
大人が子どもの様子に気づくこと
そして、子ども自身も、自分の身体を少しずつ知っていくこと
今日かいた汗も、その小さな経験のひとつになるかもしれません
身体を知ることは、子どもを知ること。
── 381保健室
🩺 気になる様子があるときは
暑い環境にいたあと、めまい、吐き気、強いだるさなどが見られたら、熱中症の可能性も考え、涼しい場所へ移して身体を冷やしてください。意識がはっきりしていて飲める場合は、水分・塩分を補います。
呼びかけへの返事がおかしい、意識がない、自力で水分を飲めない場合は、すぐに救急車を呼んでください。 判断に迷うときや症状が改善しないときも、医療機関へ相談してください。
📚 もっと知りたい方へ
- 厚生労働省|熱中症予防のために:予防と症状の目安
- 厚生労働省|熱中症が疑われる人を見かけたら:応急処置と救急車を呼ぶ目安
- 消費者庁|経口補水液について:経口補水液の用途と注意点
- 汗腺の働きに関する総説(英語):発汗と体温調節の詳しい解説
📚 つづけて読む
← #2|眠くなると機嫌が悪くなるのはなぜ?
眠気と身体の仕組みから、「できる力」と「いま使える力」について考えます
身体の仕組みを知ることで、子どもの見え方をひとつ増やしていくシリーズです
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次回は「お腹が空いた」という身体からのサインを、お腹と脳の中からのぞいてみます
