今日は、山の日です
去年の山の日、
「人は、登るしかないときがある」という文章を書きました
▶人は、登るしかないときがある|子育て・支援・人生のしんどさと「山の日」に寄せて

登る人がいて、
立ち止まる人がいて、
誰かと一緒に歩く人がいる
そして支援とは、
誰かを無理に頂上へ連れていくことではなく、
その人がその人らしく登れるように、
隣を歩くことなのかもしれない
そんなことを書いた記事でした
あれから一年。
子どもたちと毎日を過ごしながら、
今年は、少し違うことを考えるようになりました
そもそも、私たちはなぜ、
成長を「上へ進むこと」だと思っているのでしょうか

「できるようになった」は、わかりやすい
子どもの成長には、
とてもわかりやすいものがあります
歩けるようになった
言葉が増えた
着替えられるようになった
座っていられるようになった
友達と遊べるようになった
昨日までできなかったことが、
今日、できるようになる
できることが、一つ、また一つと増えていく
まるで山を一歩ずつ登っていくように
それはもちろん、
とてもうれしい成長です
私たちも、
子どもの「できた!」に出会うたびに、
一緒になって喜びます
でも。
子どもたちを見ていると、
それだけでは説明できない成長にも、
たくさん出会います
登らないことを選べるようになった
以前なら、
嫌なことがあると泣いて訴えていた子が、
「いやだぁー」
と言えるようになった
困ったとき、
一人で抱え込んでいた子が、
「手伝って」
と言えるようになった
うまくいかないと、
全部投げ出していた子が、
少し離れて、
落ち着いてから戻ってこられるようになった
みんなと同じことをするのが苦しかった子が、
「今日はやらない」
を選べるようになった
これは、
何かが「できるようになった」と言えるのでしょうか
もちろん、
そう言うこともできます
でも私たちには、
もう少し違うものにも見えます
その子が、
自分のことを少しずつ知り始めた
そんな姿です
山を登ることだけが、前に進むことではない
山を歩いていたら、
疲れることがあります
道に迷うこともあります
天気が変わることもある
そんなとき、
立ち止まる
休む
助けを求める
道を変える
ときには、
引き返す
もし「頂上へ近づくこと」だけを成長と呼ぶなら、
これらはすべて、
前に進んでいないことになります
でも、本当にそうでしょうか
自分が疲れていることに気づく
この道は危ないと判断する
誰かに助けを求める
自分に合った道を選び直す
それもまた、
生きていくための大切な力です
子どもの成長は、一直線ではない
子どもの発達について考えるとき、
私たちはつい、
「何歳までに、何ができるか」
という見方をしてしまいます
もちろん、
発達の目安を知ることは大切です
子どもの現在地を知り、
必要な支援を考えるための大切な手がかりになります
でも、
成長はいつも、
きれいな右肩上がりではありません
できるようになったと思ったことが、
突然できなくなる日もある
昨日は平気だったことが、
今日は難しいこともある
少し戻ったように見えることもある
同じ場所を、
何度も行ったり来たりすることもある
けれど、その時間の中で、
子どもは自分の身体を知り、
自分の気持ちを知り、
人との距離を知り、
困ったときの方法を知っていきます
外から見れば、
同じ場所にいるように見えても、
その子の中では、
たくさんのことが動いているのかもしれません
「できる」を増やすだけではなく
Blue Birdでは、
子どもたちの「できる」を増やすことだけを、
支援のゴールにはしていません
もちろん、
できることが増えることは、
その子の世界を広げてくれます
だから、
できるようになるための支援もします
でも同時に、
できないときに、どうするか
Blue Birdが大切にしている「できないときにどうするか」という支援については、以前の記事でも詳しく書きました。
▶ 「できることを増やす」だけではない。できないときにどうするかを育てる支援

困ったときに、
どうやって助けを求めるか
自分はいま、
どんな状態なのか
何が苦手で、
何ならできそうなのか
そして、
自分はどうしたいのか
そんなことを、
少しずつ知っていくことも大切にしています
なぜなら、
人生には、
どうしても登れない山があるからです
頑張っても、
できないことがあります
思い通りにならないこともあります
そんなとき、
「登れなかった自分はダメだ」
ではなく、
「じゃあ、どうしよう」
と考えられること
誰かに、
「一緒に考えて」
と言えること
それはきっと、
頂上にたどり着くことと同じくらい、
これからを生きていくための力になると思うのです
成長とは、何だろう
背が伸びる
言葉が増える
できることが増える
昨日より、
少し遠くまで行けるようになる
それも成長です
でも、
立ち止まれるようになること
戻れるようになること
助けを求められるようになること
自分に合わない道を、
選ばないと言えるようになること
そして、
自分なりの道を見つけていくこと
それもまた、
成長なのではないでしょうか
山には、
いろいろな道があります
登る速さも違えば、
休む場所も違う
目指す場所だって、
同じでなくていい
もしかすると、
成長とは、
どれだけ高く登ったかではなく、
自分の歩き方を知っていくことなのかもしれません
山の日に
去年の山の日、
私たちは、
「その人がその人らしく登れるように、隣を歩く」
ということを書きました
一年経った今も、
その思いは変わっていません
ただ、一つ付け加えるなら
隣を歩く私たちも、
頂上を決めないこと
登る速さを決めないこと
「こっちが正しい道だ」と、
先に決めつけないこと
ときには一緒に立ち止まり、
「どっちへ行こうか」
と考えること
それもまた、
支援なのだと思います
今日は、山の日。
山を見ながら、
子どもたちの成長について、
少し考えてみました
明日もまた、
それぞれの歩き方で
一緒に歩いていけたらと思います